「CASSHERN」対「デビルマン」でも東映まんが祭りじゃないよ ― 2006/02/07 00:13
映画の話でございますが,「CASSHERN」と「デビルマン」はどちらも原作を冒涜した作品なのですが,全体的な評価としては「CASSHERN」の方が上です。
これは
- 「デビルマン」はなまじっか原作に近かった為に原作ファンの怒りを買い易かった
(「CASSHERN」は原作の影しかなかったので怒るとっかかりもなく呆れるしかなかったor そもそも観に行かなかった) - 映像は「CASSHERN」の方が(主に色が)派手だった
- 「デビルマン」がダイジェストで駆け足だったのに対して,原作に頓着しない「CASSHERN」は(映像で語ってくれない分)台詞で全部語ってくれたので,人によっては分かり易かった。
なんてことに因るのではではないかと愚考しております。
ところが原作に対する貢献度としては(DVDとマンガなので土俵が違いますが)どうかなーと思います。
私は,映画を見て,マンガを買いに走りました。
「デビルマン」それなりに原作に近かったので,あそこはあんな風になっちゃってたけど,マンガはどうだったかなーと確認したくなります。
ところが,「CASSHERN」はかけ離れっぷりにうっかり観てしまった場合には気力を吸い取られ,すがるように原作を思い出すだけで十分になり,見直すために買いに走れませんでした(勿論,原作が好きで観に行かなかった人がこれを期に買おうとはしないでしょう)。
面白かったという人もそれが原作に由来するとは頭にも浮かばないでしょうから,原作を見ようとは思わないでしょう。
結局のところ,「デビルマン」は映画としての評価は低いですが,原作に対しての貢献度は高かったのではないかと思う次第です。
ホテル・ルワンダ ― 2006/01/20 23:46
混んでいそうなので別の映画にしようかと思っていたが某所の某絵を見て『ホテル・ルワンダ』に変更。
12:15ぐらいに到着。1:05の回で整理番号は22番でした。
この映画はある日始まった大虐殺の中で,ホテルを守り,ホテルに逃げ込んできた人たち(=客,お金は無いにしても)を,賄賂やコネや口の上手さを駆使して守り抜いた男性の物語です。
Number645号にあったシンデレラマンの広告をもじって言えば家族(実際の家族,擬似家族:従業員・客)のために(コネから賄賂から口八丁から様々なものを使って)闘った
です。(ヒーローではありますが,アクション映画などでのヒーロー(タフガイ)ではなく普通の人として描かれます。パンフレットの町山智浩さんの解説によれば実際にはエリートタイプだったそうですが)。ヒーロー普通の人の物語
公式サイトでのINTRODUCTIONの出だしは以下のようになっています。
"1994年、アフリカのルワンダで長年続いていた民族間の諍いが大虐殺に発展し、100日で100万もの罪なき人々が惨殺された。アメリカ、ヨーロッパ、そして国連までもが「第三世界の出来事」としてこの悲劇を黙殺する中、ひとりの男性の良心と勇気が、殺されゆく運命にあった1200人の命を救う。"
“アフリカでの大虐殺”ということに引きずられそうになりますが,それに対する町山智浩さんの指摘は重要だし,これを頭に入れてから観に行ったほうが良いのではないかと思います(ある程度のストーリー展開が分かったからと言って面白くなくなる映画ではありません)。
- 『ホテル・ルワンダ』を観て、「アフリカは悲惨だな。先進国が何かアフリカのためにしてやれることはないか」と思うのは、間違っている。
- 孤立無援のポールさんが守り通したモラルは愛国心でもキリスト教の教えでもなく、ホテルマンとしての、接客業としての職業倫理だった。
~
ポールさんは職業の倫理だけに従うことで、多数派から独立した判断を貫いた。ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 - 「ホテル・ルワンダ」と「帰ってきたウルトラマン」
民族間の憎悪は徐々に徐々に染み込んで行きある日突然現れる。そして,自分の身が脅かされるまでは,自分の安泰な生活を崩したくない為に気付かない振りをしてしまう。ここが自分の身にも十分起こり得て,自分もそうしてしまうだろうと感じて,ああと呻きそうになる場面でした。。
この映画は仕事に対する責任感と誇り,大事の前では何の力も無いかもしれないが,それでもベストを尽くす矜持の物語でもあります。
命からがらホテルに逃げ込んで,そこで混乱期にも係わらずワイシャツを着てネクタイを締めホテルマンとしての当たり前を全うする姿にぐっと来ました(その後も汚れたら着替える)。
ホテルもギリギリまで(客が実際には避難民であっても)体裁を保つ姿に,(そうでもしていないと見の置き場がないというのもあるでしょうが)やはり仕事に対する誇りを感じます。
腐敗があって助かることもあるということも考えてしまいました。
腐敗はいけないこととされていますが,腐敗があるからこそ賄賂を使って生き残る術もあるわけです。純粋な集団にはそういう隙がありません。
上映が終了して帰る人と次の回を待つ人とでロビーはごった返していました。その中で前を行くカップルの会話が聞こえてきました。
女:なんでこんな映画に人が一杯来ているの?
男:でも,ほら,結構よかったじゃない
なぜでしょう?>面白いからです。
そして,純愛とか可哀想といった感動とは別の感動があるからです。この映画はそういう映画です。
付記
『ホテル・ルワンダ』については↓が一番参考になります(ここの活動が公開まで持ち込みました)。
『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会
http://blog.livedoor.jp/hotel_rwanda/
メモ~『ALWAYS 三丁目の夕日』に事寄せて~ ― 2005/12/20 00:16
当時を知る友人と話した(確認した)時に出てきた事柄。
まあ,なつかし大会というか(当時は本当に知りませんが^^;)。
当時無かったもの
- アルミサッシ
描かれなかったもの
- 傷痍軍人
- 乞食(前に空き缶を置いた物乞い)
- 障碍児
- 貧乏な家(の子供)
- (森永砒素ミルク事件)
- (水俣病)
『ALWAYS 三丁目の夕日』 ― 2005/12/16 23:30
最終日に滑り込みで見てきました(前売り買ったのに『奇談』は終わっていたよOrz)
観客の年齢層は大体中年以上でちらほら若いカップルという感じで,ターゲット層にきちんと届いている感じです。
大変結構な映画でした。過去を題材に一種の理想郷を描いた作品です。
空間に包まれる,浸るためにも映画館で見たほうがよいでしょう。
時代へのこだわりというよりは,甘い幸福な仮想空間を実現させる為にノスタルジーを使ったと見えます。
タイムトラベルものではありませんが,その幸せっぷりで広瀬正さんの『マイナス・ゼロ』,ジャック・フィニイの『ふりだしに戻る』などを想起させます。
ですからこの映画では,時代の負の部分はほとんど描写されませんし,町内の人には悪い人,イヤな人はいません(私はこの時代を実際には知りませんが後の時代にも残っている影はわかります)。
奇しくも朝日新聞社の大上朝美さんが本日(12月16日)夕刊のコラムで観たくない理由(あの時代の影の部分を思い起こすから)をあげ,例としてトイレについて言及(汚かったこと)されました。
果たして,トイレの描写は存在していません。 。
ただそういった負の部分の描写が無いのは正しいと思います。
甘く切なく楽しくあればいいので,下手なリアリズムはその幸福感をだいなしにしてしまいます。
<p>比重は時代を描くことにあるのではなく,実際にはあり得ないファンタジーでひと時を過ごすことにあります。ですから,ストーリーもご都合主義のよくある話(あからさまな伏線)でよいわけで,全ては理想郷に浸るための補助装置です(そういう意味では力づくでも全員をきっちり幸福にして欲しかったとは思います)。
色々と欠点はあるでしょうが,ほとんどは問題になりません。
ただ,おそらくはどこまで出来るかという実験で,一歩を踏み出さなければその先はないのですが,“デジタルアクター”と称するものは,カクカクと動き同じ動作を繰り返す,ちょっと前のゲームの背景の人のようでした(仮想空間を強調する為わざと入れたという深読みもできますがw)。
WETAデジタル社のマッシブがある時代にはちとつらいものがあります。
(マッシブのデモは
Massive Software - Commercials
http://www.massivesoftware.com/commercials.html
で見られます)
良かったところ
- 古行淳之介(吉行淳之介?)役の須賀健太くんの声が悪いところ。リアリティを与えています。
- クリスマスのシーンの堤真一さんの手(油まみれ)と足が働く人のものになっている
- 小雪さん,堀北真希さん(眺めているだけでよい!)
すばらしいものだっただけに,作り物という事がわからずこんな事を言う人が出そうです。
- 日本はどこで間違ってしまったのか(我々は何を失ってしまったのか)。
- 豊かになれば幸福というものではない。
- あの時代に比べ今の若者は!
『パプリカ』映画化 ― 2005/12/15 23:39
平沢進さんのファンクラブのメールマガジン経由で知りましたが,ドロ沼のような悪夢が楽しい筒井康隆さんの『パプリカ』がアニメ化されるそうです。
監督は今聡さん。
今監督の『千年女優』(BOX買いました)を観たときに,次々と場面(映画)が切り替わっていくシーンで『パプリカ』を思い起こしただけに楽しみです。
ピーター・ジャクソンの『キング・コング』並に観なくてもわかる傑作になるでしょう。
ブルジョアジーなアタクシ ― 2005/11/26 01:17
『スター・ウォーズ トリロジー DVD-BOX 』を購入いたしました。
1~3(はいIV~VIです,わかっています)のBOXが出てた筈とDVD売り場へ参りました。
新発売の場所でア,コレコレと空箱を手に取りついでにその脇に置いてあってLDを買い逃していた『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス コレクターズ・エディション 』も一緒に。
CD売り場へと移動いたしましたところ,目的していたCDどころか,その人(新居昭乃さん)のCDが一枚もないことに愕然といたしました。
家電量販店で探す己の不明さを恥じながらレジへと参りました。
DVDを渡しますとレジの妙齢のご婦人が
『4枚組みのお高い方もございますが,こちらでよろしいですか?』
とお尋ねになります。
4枚組み→1枚は特典ディスク→特撮のメイキングだろう(もしかしたらティペットさまも)
と頭の中の妄想は瞬時にふくらみ,おもわず
『では,お高い4枚組みの方を(くださいまし)』
と口に出していました。
ボーナスディスクの内容を見てみると,ゲームの予告とメイキングまで入っておりました。ちょっと微妙・・・でしょうか。
『奇談』の前売りを買う ― 2005/11/17 21:55
ちょっと、びっくり。まあ、買う人はそういう人なんだろう。
阿部寛の演技を見ていると“阿部寛の役”をやっているように見えるのだが、今回の原作の主人公はまあ個性が強くないので問題とはならないだろう。
さて、はらいそさいけるのだろうか。
ポイントはじぇずさまなどの台詞をちゃんとやってくれるかとみる。
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