小林信彦「昭和のまぼろし」(文藝春秋社) ― 2006/05/06 22:33
週刊文春連載の「本音を申せば」の2005年掲載部分をまとめたものです。
今回はインフレ関連はなし。今回は昭和の忘れられた(or現在ではわからなくなった)部分がやや多目の印象があります。
勿論,映画・テレビ・ラジオなどの娯楽ネタも満載です。
成瀬ファンには
- 『成瀬巳喜男・生誕100年』
- 『成瀬ワールドへの招待1』
- 『成瀬ワールドへの招待2』
などが興味深いでしょう(これ以外にちょこちょこあったりします)。
『迎え火、送り火』(P.157)では、名前が出てこなくなったという文章に引き続いて
そのくせ、海外の女優から日本の十代のアイドルまで、女性の名前は、すっと出てくるのだ。
とあります。。
“十代のアイドルまで”という範囲が名前を知っているというレベルではないのは,この本でも
『「タッチ」で観る長澤まさみ』(P.212)
や
『笹川美和のオールナイトニッポン』(P.51)
などに表れています。
この『「タッチ」で観る長澤まさみ』は映画への見識とスター(アイドル)への見識をもった小林氏にしか書けない文章です(小泉今日子主演の「生徒諸君」についての文章を髣髴させます。)。
じゃ、なぜ「タッチ」を観たのかといえば、長澤まさみのスター性ですね。
先日、成瀬巳喜男監督の昭和二十年代の映画を観ていたら、<まだ新人>というピカピカな感じで十代の香川京子さんが出てきた。
あっ、と思うほど、長澤まさみに似ていた。
この他「タッチ」は往年のファンがうるさいという部分(まんまオタクの問題点です)の言われて困る
状況の説明が見事です。
これらの他,『二十七年目の「スターウォーズ」』(P.142~)も面白いです。
>ルーカスはオリジナリティにこだわらず
といういただきの部分,陽気さの理由、シリーズを九部作ることが出来なかった理由の推測などスターウォーズファンの評論家からは出てこない鋭い意見が多くあります。
この本はバラエティ豊かで“まるごと小林信彦”という趣であり,今まで読んだことのない人への入門としても,最近読んでいなかったという人にも最適と思われます。
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