投稿順 増田本論争2@Economics Lovers Live(旧) ― 2006/06/09 22:44
直接来られた方は「“増田本論争”のまとめ」もご覧いただければ幸いです。
上から投稿順に「Economics Lovers Live(旧)」の
マスダさんとモリタク先生(最近こればっか)|http://reflation.bblog.jp/entry/297718/
のコメントを並べ替え下部に下線を挿入したものです。
せっかくなので,人別に色分けしてみました。ダークサイドは暗く,ヒーローサイドは明るくしようとしてみましたが,上手くいってないようなので,そのうち修正するかも。
2006.5.25
さらに引用やメモ用にidを付けてみました。idのURLはその発言の先頭へのリンクになっています。
2006.6.9
というわけで増田悦佐さん『日本型ヒーローが世界を救う』です。
http://reflation.bblog.jp/entry/288977/
での話題の続き。あえてまとめはしません。先のエントリーの堺さん、田中、海法さんのコメントは重複しますがまず最初にコメント欄に移植します。
(お願い)もしこのエントリーのコメント欄に何か書きたい人がいても私が最初にその移植を終わるまで待ってください。ちょっと右の指を何本か痛めてまして作業をセーブ中でして時間がかかります。
連続投稿(同一エントリーへの他人のレス待ちなしでの三連続以上の投稿)はなるべく自粛願います。投稿前にコメント内容をよく確認し、また注意書きなどがないかどうかもよく右左上下確認してから投稿しましょう。よろしくご協力お願いします。
more…に結局移植しましたが、当事者の新規のコメントがみにくいのと元エントリーにあること、などから便宜上カットしました。このエントリーをみられた方は上記のエントリーを一瞥してからお願いします
(補)堺さんの情報のみここに残します。
http://animeanime.jp/special/archives/cat97/index.html
連続投稿ですいませんが、議論とは別に、現実問題、今、日本のマンガがアメリカでどういう位置にあるか、具体的な数字の入ったレポートがあるので、ご参考まで。
なかなかおもしろいです。
commented by 堺三保 posted at 2006/05/20 20:42
さらにこのエントリーについていたコメントを私の携帯でみれなくなったために便宜的に一部more…以降に貼り付けました。あいているコメント欄には書きこみ可能ですのでご利用ください。
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Comments
よし指冷やしながら少しだけ頑張るw
>堺さん。それはたぶんコメント欄が長いゆえの誤読ですよ。
松山さんが増田さんの説は「陰謀説」である、としたので、増田さんの主張を「陰謀説」とするのは正しくない、という意味で僕は以下の文章を書いたのです。
<>増田の主張は、「コミックス・コードが導入された理由は、精神科医がはじめた「悪書追放」キャンペーンではなく、朝鮮戦争を素材にした厭戦的なコミックスが出版され始めたことだ」というのが主張であり、陰謀論などというものではまったくない。>
「陰謀論」は論証・実証不可能ですが、増田さんの上記の話は論証・実証可能な命題です。その意味で松山さんに反論をしただけです。ですので私は増田さんのこの解釈に賛成も反対も表明していません。正直にほかのエントリーでこの時期の研究をしなくちゃね、と書いてもおります.
ですので別にこの件についてはいまのところ
<例えば私はミシシッピ大学の出したSeal of Approvalというコミックスコードの歴史研究本を持ってたりするんですが、そこにもワーサム事件を契機とした公聴会を経て出版社が自主規制に踏み切った経緯がしっかり書かれてます>
は別に否定してませんけど?>田中。
というわけです。
ほかは後(不明時)で
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/20 19:32,id
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堺さん<少なくとも増田説の「アメコミは規制の産物だから内容が陳腐であり、ビジネスとして失敗した」かつ「日本のマンガは規制から自由だから多様性に富んでいてビジネスとして成功した」は、かなり鵜呑みにしちゃってるんじゃないんですか?>
鵜呑みにみえるかどうかはわかりませんが、コミックコードの導入、規制ゆえの専門書店化などはビジネスとしては効率的なものではないでしょうね。それに対する反論は松山さんもしていません。日本の方も規制がまったくない、とは私は書いていません(再販制の存在はどうみても規制ですよね)。増田さんはこの再販制についてはふれてなかったと記憶します。ただ表現の規制が厳しいかどうかに議論が集中しているのが増田本の特徴でしょうね。そこは問題ともいえます。
堺さんがあげたseal of apprivalは未読ですのでが、私が参照したComic Book NationやFredric Wertham And the Critique of Mass Culture にはコミックコードによるコミック界の停滞が記述されてますが、これは規制の結果ではないでしょうか? そしてITOKさんが指摘されてましたが、このコードが形骸化してきたので最近のアメコミの多様性が生まれてきたのではないかという意見がありました。こういう話が「鵜呑み派」の意見のいくつかです。まさに自由競争が多様な文化をうむということへの理論的な支持の表れでしょうね。
これを「鵜呑み」であるとするならそれに対する堺さんの反論を待ちたいところです。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/20 20:50,id
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>「競争的な市場が自由で多様な表現を可能にする」という増田氏の主張はしごくごもっともなんですが、具体的な部分は恣意的に自分の主張に都合のいい例だけをピックアップしてるだけのような気がするので
というところで認識は一致していますので、さほど争う余地はないように思えるのですが。
>硬直していたアメコミの流通を変えてくれるんじゃないかというところにあったりします。
>問題は、もともと教育にうるさいアメリカの親が、それに対して大バッシングをかけてくる可能性があるってことでしょうか。
これらを含めて規制と考えているのですが、間違っておりますでしょうか?
で、こういった規制が少ない方が多様性に富むし市場も発展するのではないかという風に増田説を認識しております。
#ご紹介のレポート面白いですね。
commented by ITOK posted at 2006/05/20 20:59,id
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堺さん、やはりルールは守りましょうよ。僕もせっかくつくったわけですから。松山さんも海法さんも堺さんもなんでこんな単純なルールも守れないのでしょうか? あと堺さんの直近のコメントはパソコンのバランスも悪いので削除した上でエントリーの方に移植しておきます。
<あと、コミックス・コードの件にしても、アメコミに集団ヒーローものがあるかどうかにしても、途中、議論がねじれてるところは私にはまったくどうでもよくて、増田説が間違ってることを言いたいだけです。>
え~とすみません、これらの論点がどうでもよく、議論もどうでもよくて、増田説のどこにご批判があるのでしょうか?
できれば議論の経過を尊重していただけると幸いです。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/20 21:00,id
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まずは、前エントリーで、田中さまの指示に気づかず、前エントリーにコメントをつけたことは、まことにすいませんでした。ルールを守れなかった件、もうしわけありません。
さて、次ですが、「競争原理は“必ずしも”文化の多様性と矛盾しない」というのは、特に誰も反対しない、当たり前のことだと思います。
もし、増田氏の論がそこで終わっているのなら、何の問題もありませんが、その場合は、増田氏の論自体、当たり前の話なので、あんまり価値がありませんね。
実際には、増田氏は、日本の漫画と、アメコミを対比することで、事実に基づいた検証をされようとしているわけです。
そこにおいて、「アメコミには集団ヒーローがいない」「コミックコードは朝鮮戦争の厭戦ムードを抑えるため」といった事実に基づいた主張をされてる以上、その事実が正しいかどうかを確かめる必要は、充分にあると思います。
(すごく大雑把な)結論だけ正しくても、間違った事実に立脚した主張は、論全体としては、価値がないといっていいでしょう。
堺さんのおっしゃってるのは、たとえば上記2つの事実は、わりと単純かつ明確に確かめられるので、そこを、まず、きちんとしよう、という話だと思います。
commented by 海法 posted at 2006/05/20 23:07,id
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海法さん、僕の携帯でコメント欄みる楽しみを奪ったのは許せんw
というのは冗談ですが、ところで基本的には海法さんの今回のコメントはわかります。このエントリーにも再掲載した書評は海法さんが当たり前と書かれたことに最大の評価を与えているわけです。これはまあ、市場の機能といわれるものが一見すると当たり前であっても、経済学者からみると現実には成立しがたくなおかつなかなかうまい機構に思えること、そしてそれをある特定分野に適用して史観の形にまで発展させられたらさらに魅力を増すこと、という私の評価の現われです。この史観をコミックやアニメの世界で徹底して適用したものを私はあまり知らないのです(例えば中野先生の『マンガ産業論』も経済学的な史観とはやはり違うように思えるのです、それがマイナス評価になるというわけではありません念為)。
ですので経済学の基本原理が当たり前である、ということと、それを史観にまで成長させることは別個の問題と思えます。自明なことの論証が決して陳腐ではないことと同じなのです。
<「アメコミには集団ヒーローがいない」「コミックコードは朝鮮戦争の厭戦ムードを抑えるため」といった事実>
の検証は重要でしょう。みなさんアメコミファンのこの分野での読書量を100とすれば私はおそらく1ぐらいでしょう(推測)。ただ研究論文を読むのに慣れてるのが比較優位かなあ?
前にも書きましたが、例えば書評にも書きましたが、私はこの増田本になんの不満も抱いてないとは思わないですよね?
まさに抱いてまして、そういった細部を自分なりに再構成するのがこの本の楽しみ方のひとつです。
なおいまの最大の懸念はこの本が本年度のトンデモ本大賞候補やトンデモ本のなかに収録されないか、という心配ですw。そのときにはぜひディフェンダーになりたいと思ってます。ここ数ヶ月でだいぶアメコミに詳しくなったので期待しててください (^^)
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/21 00:08,id
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まず一点。増田説自体について。
田中さんが増田説を鵜呑みにしているところの一つは、この、コミックス・コードによる規制や専門書店化によって、アメコミの発展が阻害されたとしているところですね。
コミックスコード導入は54年。
専門書店化は70年代。
アメコミのブームは、最初が40年代、次が60年代、そして80年代の3回で、それぞれ飛躍的に市場が拡大。
また、松山さんが前に書かれていたように、コミックスコードの形骸化は80年代に起こっています。
そして、現在のアメコミ市場の縮小は90年代以降のモノです。
つまり、アメコミの市場はコミックスコード導入によって、一度徹底的に縮小しますが、それは50年代の短い期間だけですし、その規制の効果のまま、60年代に盛り返します。
さらに、専門書店化も90年代にはいるまでは、市場の拡大に悪影響を与えたわけではありません。
というわけで、増田説は、歴史的経緯というものを無視して、自説の証拠としているのです。おわかりですか?
次に、増田説の評価について。
田中さんはずっと増田説は論拠に乏しくても、説自体に魅力があると言っているような気がするのですが、わたしはそのような態度は、非科学的であるとしか思えません。
「増田本のこことこことここが事実と違うから、この本の主張は論拠に乏しい」
「そうですね。でも主張は魅力的ですから、事実と違う論拠が少々あっても見逃してあげたいのです」
そういう論法は、まさにトンデモ本を支持する人々がよく使うものだということをお忘れなく。
commented by 堺三保 posted at 2006/05/21 03:48,id
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堺さん、増田本本当に読みましたか?
僕が書いた
<コミックコードの導入、規制ゆえの専門書店化などはビジネスとしては効率的なものではないでしょうね。>
は時系列を省略して書いた、僕が増田本を読んでから関心もった諸点を列挙しただけですよ? コミックコードの問題は増田本にはでてきますが、規制ゆえの専門書店化は先のエントリーでぼ・く・が山形さん紹介の日本財団の企画記事から考えたものです。年代は上の引用のときにいちいちつけませんでした。増田さんも書いてないことで批判されては困ると思いますよ。あくまで増田本を読んだ鵜呑みの効果が僕に表れたかなあ、といいう例であげただけで増田本やコメント欄の流れをみればお気づきになったと思いましたが。
<つまり、アメコミの市場はコミックスコード導入によって、一度徹底的に縮小しますが、それは50年代の短い期間だけですし、その規制の効果のまま、60年代に盛り返します。>
この「規制の効果まま」というのがわかりません。規制がきているなら規制対象の表現・商品は市場にでてきませんので、規制がない場合よりも多様性に欠けるでしょう。堺さんの表現を使えばもっと盛り返すことが可能だったと考えるのが自然ですが。そうではないのですか? ならばどんな理由で?
<田中さんはずっと増田説は論拠に乏しくても、説自体に魅力があると言っているような気がするのですが、わたしはそのような態度は、非科学的であるとしか思えません。>
堺さんの反論も論拠に乏しいですからそう断言されても。そもそも増田本をちゃんと読まれての批判ではなく、松山さんとまったく同じようにごく一部分のみ(総頁数370ページのわずか数ページの攻防戦ですよ、いまのところ)をとりだして執拗な批判を繰り返すだけですね。いまのところ堺さんからのファクトファインディングもないのですので、すこし落ち着いてその時期の研究書でも読みましょうよ。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/21 04:51,id
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一般常識と思われているものを、きちんと事実から論証し、また、史観につなげるのは、非常に大切なことだと思います。
ただ無論、それは、論証、史観の過程が、それなりに信用がおける、と、した場合です。
で、海法の立場を、まず書いておきます。
ただし、堺さんも細かに書かれていますが、私から見て、事実レベルの考証が見るに耐えない。
海法個人の立場から言うのであれば、この本は「現代日本人」を語る時に、類例として「チョンマゲ、ゲイシャ、サムラーイ」みたいなのを持ってくるのと同レベルの事実誤認、あるいは怠慢をしています。
マンガとアメコミの比較を経済的な側面から行うことは意義があることと思いますが、増田説の場合「細部を再構成する」よりかは、「全部を廃棄」して、最初から作り直したほうがマシな代物だと思います。
史観を作るのは大事ですが、いい加減な事実に基づいたダメ史観を流通させるのは、有害だとさえ考えます。
「競争原理と多様性の関係を、マンガ、コミックのマーケットにおいて論証し、史観として作り上げる」ということを、もしも田中さんご本人が目指すのであれば、貴いことだと思います。
その場合は微力ながら協力させていただくつもりです。
commented by 海法 posted at 2006/05/21 04:52,id
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>この「規制の効果まま」というのがわかりません。規制がきているなら規制対象の表現・商品は市場にでてきませんので、規制がない場合よりも多様性に欠けるでしょう。堺さんの表現を使えばもっと盛り返すことが可能だったと考えるのが自然ですが。そうではないのですか? ならばどんな理由で?
えーとまず、現在の命題は、「規制がなくなれば、多様性が増して売れる」という命題が真か偽かです。
「規制がなかった時に売れた」
「規制があった時には、もっと売れたはず」では、それは単に万能理論で、何でも説明できてしまうでしょう。
それは議論として、間違っていると思いますが、いかがですか?
私は「場合による」と考えています。実際問題、ある種の規制が表現を進化させ、結果、ブレイクに至る、というのは、娯楽業界では、よくあることだと思いますよ。
まずは「規制にも関わらず、ブームが来た」というデータを、冷静に受け止めるべきです。
堺さんは、他に幾つも、「規制」と「ブーム」がずれた例をあげられています。
それを全部無視して「規制がなければもっと売れるはず」という結論を出すのは早計だと思いますが、いかがですか?
commented by 海法 posted at 2006/05/21 05:05,id
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私の言いたいことは海法くんが先に書いてくれているので、繰り返しません。
ただ、増田本全体について批判を始めたら、こんな短い文章ではすまないと思いますし、一つ一つの事例について、まずは真贋をチェックしていくべきだと思います。
また、増田本に出てくるアメコミの内容についての批判にいちいち反論しても、それこそ山形さんが書いたように、一般的な日本人のアメコミ観が増田氏と変わらないのであれば、あまり意味がないわけで、それよりは、経済的な部分に話を絞って、アメコミの歴史が増田理論が正しいことの証明になるのか、考えるべきだとも思います。
興味がない人にどれだけ「アメコミはこんなにおもしろいんだ」って言っても、ある程度から先は趣味の問題になっちゃいますから。
ちなみに、大塚史観に対する増田氏のいらだちもわからんではないんですが、全否定するのは難しいでしょう。
私は、起源的には「アメリカ文化へのキャッチアップ仮説」がそんなに間違ってないと思いながらも、現時点では、マンガ、アニメ、映画などを包括的に含んだ状態で、日米のポップカルチャーが「キャッチボール状態」にあると考えています。
そして、今後、その状態は加速していって、日米のポップカルチャーを対立するものと捉えるのではなく、融合していくものだと捉えるべきだし、実際にそうなりつつあると思ってます。
増田氏みたいな「日本の大衆芸術マンセー」に乗っかっちゃうのは、そういう現場の流れを阻害するだけだと思うんで、ものすごく反発を感じるんです。
マンガとアメコミの経済状態だけを見てるんじゃなくて、映画とかテレビとか含めて考えるべきなんだと思います。
最後に、ファクトファインディングという話については、自分に都合のいい説の補強の時は、山形さんの引いてきた私の文献の引用をそのまま鵜呑みにして、書いた私本人が批判を始めたら、「堺さんからのファクトファインディングもないのですので、すこし落ち着いてその時期の研究書でも読みましょうよ」というのには、正直がっくりきました。
そりゃあんまりだ。
まあ、とりあえず、田中さんに参考文献をお教えしておきます。
アメコミの包括的な歴史書ならば、
Comic Book Culture,(2000) Ron Goulart
Comics, Comix & Graphic Novels,(1996) Roger Sabin
The Comic Book,(1994) Paul Sassienie
Great History of Comic Books,(1986) Ron Goulart
70年代以降のアメコミ現代史にしぼると、
The Comic Book Heroes,(1997) Gerald Jones & Will Jacobs
戦争コミックを含む、第二次大戦後から54年までのアメコミについてなら、
Commies, Cowboys, and Jungle Queens,(1990) William W. Savage, Jr.
アメリカのアメコミおたくくんたちについては、
Comic Book Culture,(1999) Matthew J. Pustz
を、適宜参照しています。
こういう本は出たときに買っておかないと、すぐ手に入りにくくなるのが難点ですが、気になるタイトルがあれば、探してみてください。
commented by 堺三保 posted at 2006/05/21 06:03,id
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>いえ、万能理論ではないんですよ。規制のある市場と規制のない市場を比べたときの消費可能な集合を考えたときの経済学のデフォルトです。
えーと。
事実1。規制がある状態で売れた。
というのを認めるとします。
この時点で、「規制」と「売れ行き」と「多様性」には、正の相関性、負の相関性、無関係、が、考えられます。
ここまでは、良いでしょうか?
で、田中さんのおっしゃってる理屈でいくと。
1.規制があって売れていた場合。
→規制がなかったらもっと売れていたはずだ。売れてはいないまでも多様性があったはずだ。
2.規制がなくて売れていた場合。
→規制がなかったから多様性が増し、売れたのだ。
3.規制があって売れなかった場合。
→規制のせいで多様性が減少し、売れなかったのだ。
4.規制がなくて売れなかった場合。
→売れなかったが多様性は育った。その先に売れる時期が来るだろう。
という具合に、結論ありきで、全部説明できちゃうんですよ。
これを万能理論と考えます。
つまり、
・規制があった故に売れた。
・規制があった故に多様性が増した。
・規制とは無関係に売れた。多様性が増した。
という可能性を、あらかじめ全排除して、あらゆる事実を「規制は多様性を殺す」というところに落ち着けててるわけで。
堺さんの出した「事実」に対して、反論するのは田中さんの側であって、「規制がなかったら、もっと多様性があったはずだ」というのは、万能言い訳である、というのは、おわかりいただけたでしょうか?
もう一度、まとめます。
「規制」と「売れ行き」と「多様性」の間には、正の相関性、負の相関性、無関係の最低3つが存在します。
堺さんの上げた事実は普通に考えて、「規制と多様性」の正の相関性に対して、ある程度否定的なデータです。
田中さんは、それをどうお考えですか?
>それと売れたとか売れないかの意味ではないですよ、多様性がますだろう、という意味での盛り返しの可能性です。
「多様性」とやらを、定量的に定義してください(理論的にでいいですから)。
測定できない尺度で、「多様性があったなかった」と言う場合、それは、こじつけの道具にしかなりませんから。
commented by 海法 posted at 2006/05/21 07:50,id
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一応、アメコミの内容の多様性問題についても、書いておきます。
規制がおこなわれたせいで、恐怖コミックや戦争コミックがなくなっていったのは50年代後半なんですが、じつはそのとき、ヒーローものも同様にほとんど消えていて、出版社も次々に消え、アメコミは産業としてほとんど死滅しているんです。
つまり、アメコミは50年代末に一回パアになって、ほとんど0から再スタートしたわけです。
そのあと、60年代にDCとマーヴェルがヒーローものを復興させ、一気に市場を独占したことで、今のアメコミ市場が形成されたわけで、ここから先のヒーローもの9割の世界というのは、規制の結果ではなく、市場原理に出版社がしたがった結果だと考えるべきでしょう。
実際、60年代以降も戦争マンガのような非ヒーローものコミックはいろいろ出版されてるんですが、どれもそんなに長続きしていません。売れないと続かないのが資本主義の原則なわけですから、すぐ打ち切られちゃうんですよね。
つまり、アメコミが日本のマンガとまったく違う歴史を辿った理由は、規制でもなんでもなくて、バタフライエフェクトみたいなもんじゃないかと、私は思ってます。
確かにその最初の一石を投じたのはコミックスコードという規制なんですが。
だいたい、コミックスコードというのは基本的には暴力描写と性描写に関する規制なので、それと、アメコミにスーパーヒーローもの以外のマンガ、例えばスポコンものとか少女マンガとかがいつまでたっても発展しなかったこととは、あんまり関係ないんですよね。
どちらかというと、アメコミの出版形態が、そういうテーマにそぐわないからなんじゃないかと思います。
まあ、あとは田中さんがご自身で資料を調べていただいて、自分で判断していただければいいと思います。
commented by 堺三保 posted at 2006/05/21 08:11,id
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>海法さん。すみませんが、堺さんのあげた参考文献よりも僕の参考文献の方が1<2で多いんですが。爆笑。
それと堺さんですが、あいかわらず370ページの数ページの話題にこだわり、しかも増田本を読んでいない(あるいはあまり読んでない)ことは明らかなようですので、そういう方の増田本批判からなにを得ればいいんでしょうね。
海法さんにお願いがあるんですが、あまり私が知る以外のファクトファィンディングのご提示がないのですが、なにかネタをいただければ嬉しいですね。ネット上にあるのはかなりチェックしてますのでできれば文献(ただしComic Book nationやComic BooK and Americaなどの参考文献以外で)を教えていただけると幸いです。それ以外はまあ、いまは関心ないですねえ。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/21 11:05,id
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>規制がないときの消費可能集合の方が、規制のあるときの消費可能集合よりも大きい。それが多様性の意味ですが?
えーっと。
それは、純理論的に「ある瞬間のある状況」を比較すれば、成り立つかもしれませんが。
ある程度の期間において、「規制」は「消費可能集合」を育てるか育てないか、といえば、それは、「必ずしもそうではない」という話です。
理論上の「消費可能集合」はさておき、現実においては、特定のジャンルに対し、規制をかけることで、活性化することが観察されることが、しばしばあります。
例えば、娯楽ジャンルで「規制に触れないように、かつ、規制ぎりぎりの面白いものを作るべく努力する」結果、ジャンルがしばしば、活性化するわけです。
物を作る時に、特定の縛りがあったほうが、新たな手法が開拓され、創造性が発揮される、というのは、よくあることです。
作り手のリソースが無限に存在すれば、「特定の縛り」を自分に課す作り手と、そうでなくて自由に作る作り手が存在するわけですから、「消費可能集合」は、常に規制がないほうが大きくなりますが、現実は違います。
作り手の数は有限ですから、「規制」という縛りを全体にかけたほうが、創造性が発揮される場合というのが、現実にあるのです。
逆に規制の全くない娯楽は、しばしば、刺激を強くする方向にだけ行きすぎて市場を失い、自滅する、というのも、よく観察される例です。
要するに。
海法は、市場が増えて、色々な作家が集合することによって多様性が増える場合があると考えます。つまり、多くの場合、多様性と市場の規模、売り上げは切り離せないと考えています。
えーと、そうですね。理論の話になるので、現実に即した話を聞きたいです。
例えば、少年ジャンプがあります。今、編集部の自主規制および、法律の規制によって、過度の性描写や、暴力描写は規制されていますね。
この場合、上記の規制がもしなくなった場合。
田中さんの言う「消費可能集合」は、具体的には、どんな風に増えるのですか?
commented by 海法 posted at 2006/05/21 11:22,id
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それだけ資料を読んでると称して、なんで、増田本の言うことに納得してるのか、理解に苦しみます>田中さん。
てか、資料読んだ数で勝負されてもなあ。
また、増田本は読んでますよ。
前にも書きましたが、全体を通して、事実関係の間違いに赤を入れていくより、個々の事例について、一つずつチェックを入れていく方が良いと思っているのと、田中さんが増田本の個々の事実の間違いには目をつぶって、「競争が多様性を生み出す」という主張に注目しているということなので、その論証としてアメコミは妥当な例かについて、議論すべきだと思ったのですが。
個々の間違いや思いこみは後半もひどいでしょう。
たとえば、日本のおたくについて語るときに、日本SF大会やファンダムのことに言及してるのに、それがアメリカ譲りであることは無視してたりね。
でも、そんな個々の間違いはどうでもいいんでしょう?>田中さん。
それより、こちらは具体的な例を提出しているのに、それに対して具体的な反証をしてくれないし、なんだかけんか腰っぽいのには、正直感心しません。
海法くんに向かって、私の話をされてもねえ。
まあ、私としては、山形さんの発言のままだと、自分の書いた原稿が自分の意図と違う論証に使われてしまうそうなので、「私にはそんなつもりはない」ということをこの場ではっきりさせたかっただけですので、このへんで。
commented by 堺三保 posted at 2006/05/21 11:28,id
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確認ですが、連続投稿(同一エントリーへの他人のレス待ちなしでの三連続以上の投稿)はなるべく自粛、というルールは、田中さまご自身には適用されないということで良いのですね? 了解しました。
>海法さん。すみませんが、堺さんのあげた参考文献よりも僕の参考文献の方が1<2で多いんですが。爆笑。
はぁ。そうですか。
私は、笑われるようなことをしたとは思っていませんが、「数」の多さに何か意味があるのですが?
田中さんの参考文献にプラスして、堺さんの参考文献も参考になされば良いかと思います。
この場合、爆笑というのは、私を貶めるニュアンスがあると思いますので、どういう意図か、お聞かせいただけると嬉しいです。
>前回は規制の効果が継続しながらもどうしてコミック市場が盛り上がったのか?その理由が欠如してます
堺さんへのレスのレスで失礼しますが。
「規制の効果が継続するが市場が盛り上がった」という事実があるわけです。
それに対して考えられる仮説には「規制と市場の盛り上がりは関係ない」というのも入るわけです。
そもそも堺さんは「規制があれば市場が盛りさがる」というのは、単純化がすぎる、として、反対しています。
理論に反発する事実を持ち出してるのですから、それは田中さんが説明すべきことでしょう。なんで、堺さんが、その理由を自分で言わないといかんのですか?
commented by 海法 posted at 2006/05/21 11:30,id
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堺さん、なにを書かれてるんですかね。
<山形さんの引いてきた私の文献の引用をそのまま鵜呑みにして、書いた私本人が批判を始めたら、「堺さんからのファクトファインディングもないのですので、すこし落ち着いてその時期の研究書でも読みましょうよ」というのには、正直がっくりきました。>
山形さんが堺さんの引用をあげたときに、僕は堺さんの主張に依拠したり、また賛意もまったく示してませんでしたが? どこで僕はそんなこと書いてますか。山形さんがソース明記の議論をしてて、対して松山さんがソースなしの議論をしているのを批判していたのが堺さん文献登場後の直近のコメントですけども? だいたい同窓会いっててその堺さんの文献でたとき時間前後の話にわたしはたいして加わってないわけです。ご自身の意図と違う形で使用された憤りはわかりますが、それは僕にむけられてもなあ。
それと堺さんの具体例の反論ってなに? 「規制が続くのに市場がもりあがった」あるいは「バタフライエフェクト」の話のところですか? 意味がわからないのでレスに困っているのでそこを知ってそうな海法さん(なぜか堺さんと同時刻に登場されるので助かりますが 笑)の万能理論批判につきあってるので待っててくださいw
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/21 11:45,id
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連続投稿三回ですか? それは僕には対象外です。過去の歴史でもそうしてます。それは同一エントリーにコメントいただく複数の人になるべく個別でレスをしますからそうなってしまうのですよねえ。このブログの構造的な問題でしてコメント欄をひらくと誰にこたえてるかひとつのコメントでもわかるのですが、左にコメントがあるときは省略形なのでひとつのコメントのなかで複数の人に答えると気がつかれない可能性があるので。海法さんが同1エントリーに時間あけて二回コメントして、堺さんが一回してたら、その後の時間でみた僕は三回しますよねえ、しなくちゃいけないとも思うんですよ。
え~それ海法さん、違いますよ、議論の仕方が。ありとあらゆる対象を含んだ集合がまず先にある(多様性の極地)。その集合から選択対象となる集合を選ぶ(この規準は選択のあり方だけに依存、私がいってる規制のないときの消費可能集合に該当)、さらにそこに規制をかける=選択元よりも多様性は劣る、というわけです。ですので、この最後の状態でも海法さんが多様性が現実にもあったのだ、といわれるわけですので、その事実でも論拠でも知りたいですし、その説明責任は原理的に海法さんにあるわけですよ。
「規制のある状態よりも無いほうが消費の多様性が豊か」というのが海法さんの議論ですので、その説明責任は海法さんにあるんですよ
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/21 12:02,id
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前の書き込みでもう止めにしようと思ったのですが、
>(なぜか堺さんと同時刻に登場されるので助かりますが 笑)
これはいかんでしょう、これは>田中さん。
これは何かの当てこすりですか?
別に示し合わせて書き込んでるわけじゃありませんが。
それと、さっきも書いたのですが、なんで(笑)とかwとか、わざわざつけるんですか? 何か意図があるんですか?
>「規制が続くのに市場がもりあがった」
アメコミ史の資料読んでるんでしょう?
なのに、これがわからんというのは、資料のどこを読んだと言えるのか、たいへん問題だと思います。
逆に「いったいどういう資料をどれだけ読んだのか?」教えて欲しいものです。
だいたい、わたしががっくりきたのは、言うに事欠いて「その時期の研究書でも読みましょうよ」と言われたことなんで。数を競っても仕方ないと先に書きましたが、とはいえ、田中さんは私が提示した文献じゃ不十分だとでも言いたいのか、お聞きしたいところです。
ところで、『日本型ヒーローは世界を救う!』のもう一つのツッコミどころを思い出しましたよ。
中盤で往事の日活アクション映画をものすごく持ち上げて、それに比べてハリウッド映画は云々と書いてるところがあるんですが、今の邦画と洋画を比べたら、ビジネス的にも内容的にも、向こうの方が圧倒的に多様ですよね。
映画だけを見て言えば、逆に『ハリウッド型ヒーローが世界を救う!』にはならないんでしょうか?
あの本のおかしいのは、そこで実写の邦画じゃなくて、アニメの話に持っていって、「日本のアニメのほうがハリウッド映画なんかより……」ってほうに話が進むところです。
先にも書きましたが、日本側のアニメ、マンガ、映画(怪獣映画とかね)と、アメリカ側のアニメ、マンガ、映画とが、入り交じった形でお互いに影響を与えあい、互いの市場を食い合っているのが今の日本とアメリカの娯楽産業の姿なのです。
だから、単純に邦画対洋画、マンガ対アメコミという比較をして、そこから、田中さんお気に入りの自由競争による多様性の確保の証明を引き出すこと自体、実はあまり意味がないと思います。
なんというか、ハリウッド映画、アメコミ、マンガ、アニメといった、日米双方のポップカルチャーの、ここ20年間の交流というか、相互作用というのは、文化的にもビジネス的にもとてもおもしろい題材だと思うのですが、大塚氏にしても、増田氏にしても、言ってることが極端に触れすぎてますよ。
田中さんにはぜひ、マンガのみにこだわらず、日米のポップカルチャー全般の現状をきちんとサーベイした上で、増田理論以上の田中理論を構築していただきたいと思います。
commented by 堺三保 posted at 2006/05/21 12:30,id
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>堺さん、僕もいま新規エントリーでまとめようとしましたが堺さんのこのコメントみてやめました。ここでまだできるでしょう。同じ時間帯にあらわれると議論がやりやすいのでいいなあ、という意味で、wは呆れてるという形容です(この論議自体に)。
それでお答えになってないようですが、私、堺さんの論説にいままで賛意を示したり依拠したことないんですよ。だから堺さんのコメントの主目的である山形さんの引用とその誤用?それへの田中の賛意、という「田中の賛意」は誤まりだということでいいわけですね?
あと増田本を読まれてないと思った専門店の話もいつのまにか別な話になってます。私、堺さんが増田本の一部分にのみこだわる傾向を松山さんのとき同様にここで何度もご注意申し上げているわけですよ。細部は重要ですよ。でも細部にこだわって本人が書いてもいないことまで責任をおわせて全批判するのは感心しないということです。
このコメント欄をすべて読んでいる人が私たち以外にかなりいると仮定してですね、私は増田本についての堺さんたちの上記の批判スタイルを批判してますが、同時にアメコミについて自分の説をほとんど述べてません。例外は堺さんが増田本の主張と認識した専門店の話ぐらいでしょう。むしろ堺さんの「規制の効果が続くのに市場がもりあがる」仮説の理由が聞きたいのですよ。市場が盛んになっている事実はわかります。しかし規制がない場合(経済学のデファクト)よりも
規制の効果が続くにもかかわらず市場が盛り上がった、という堺さんの自説がわからないのです。バタフライエフェクトもますますわかりません。その言葉の説明だけ事実と照合されてません。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/21 12:56,id
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ご指摘の“もう一つのツッコミどころ”ですが,ちょっと要約が大雑把過ぎませんか。
増田本のP.167~P.175だと思われるのですが,ここで言われてるのは“女が演ずるヒーロー映画”が日本には色々あったけれど,“ハリウッドで女優がヒーローをこなした例は,本当に少ない”,ということです。
更に“アニメの話に持っていって、「日本のアニメのほうがハリウッド映画なんかより……」ってほうに話が進む”というところはありません。
“オールラウンドな人格を持った女性がヒーローのハリウッド活劇というのは,アンジェリーナ・ジョリーの『トゥーム・レイダース』までなかったと言ったほうが正確だろう”と言って,そこに『攻殻機動隊』の影響があるのではないかと指摘して,“それに比べて1970年代から女性がヒーローとして活躍する映画を作っていた日活はすごい”というほうに話が進んでいます。
commented by ITOK posted at 2006/05/21 21:47,id
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>連続投稿三回ですか? それは僕には対象外です。過去の歴史でもそうしてます。それは同一エントリーにコメントいただく複数の人になるべく個別でレスをしますからそうなってしまうのですよねえ。
じゃぁ、管理人に限らず、一人が3人の人に意見をもらうと3連続レスが必要になりそうなものですね。
いえ、もちろん、ブログ管理の方がルールを作るのに異論はありませんが。
>それ海法さん、違いますよ、議論の仕方が。ありとあらゆる対象を含んだ集合がまず先にある(多様性の極地)。その集合から選択対象となる集合を選ぶ(この規準は選択のあり方だけに依存、私がいってる規制のないときの消費可能集合に該当)、さらにそこに規制をかける=選択元よりも多様性は劣る、というわけです。ですので、この最後の状態でも海法さんが多様性が現実にもあったのだ、といわれるわけですので、その事実でも論拠でも知りたいですし、その説明責任は原理的に海法さんにあるわけですよ。
なるほど。
事実の「立証」と、その事実が起きた「原因の説明」は、別のものですよね。私は、てっきり田中さんは、堺さんの「事実の立証」を受け止めた上で、「原因の説明」について話しているのかと思っていたのですが。
事実の「立証」レベルで、意義を呈していたわけですね。
では、私の立場は、おおむね堺さんと同じです。
「どこの資料を読んだら堺さんがあげた事実を否定できるんですか?」
事実の立証レベルで堺さんに異議があるのでしたら、まぁ、海法の出番はありません。私は堺さんが述べた「事実」に賛成ですから、その立証は「資料を読め」以上のことを言うつもりはありません。
>規制のある状態よりも無いほうが消費の多様性が豊か」というのが海法さんの議論ですので、その説明責任は海法さんにあるんですよ
違います。
「規制のあるなし」と「消費の多様性が豊か」とは、単純に関連づけられない、様々な要素が含まれる、と、主張しています。
その上で、「アメコミが規制されて多様性がないから消費が減った」というのは、堺さんが述べたような様々なレベルで「観測された事実に反している」と主張しています。
commented by 海法 posted at 2006/05/22 04:30,id
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>海法さん、投稿のルールについてもつまらない揚足取りだなあ。それってなにか煽りでも狙ってられます? ここ屁理屈のディベート工場じゃないんですがw。堺さんはかなり有益な情報を提供していただいてるんですが、海法さんは僕にはただの厨房にしかみえないんですよねえ。
あとやはり全体でなにをいいたいのかわからないんですよ。
僕がいいたいのは規制が効果をもっていたのならそれを60年代においても解除したらもっと市場における消費の多様性はあっただろう、というものです。
例えば需要供給線はわかりますか? いま多様性がおさえられている(=規制の効果が継続している)ことを供給曲線が垂直であることで表現します。需要曲線は右下がり。規制が依然として効果を発揮しているので、需要曲線が右上方シフト。均衡価格は上昇。このときの余剰をAとします。次に私がいうように規制がこのとき緩んで供給曲線が右にシフト。均衡価格は下落、総余剰Bは先のAよりも大きい。多様性が増えたことで総余剰が増加しました。以上です。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/22 05:24,id
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>僕がいいたいのは規制が効果をもっていたのならそれを60年代においても解除したらもっと市場における消費の多様性はあっただろう、というものです。
今、現在、「市場における多様性と規制」について、どのような「関係」があるか、を、調べてるんですよね?
先に関係を決めつけたら意味がないですね。
田中さんの「規制がなかったら増加した理論」は、充分に常識的でありえるシナリオだと思う上で。
経済学的な原則が、現実の市場で、しばしば通用しないことが起きるのを海法が田中さんに教える必要はないと思います。
また「規制故に多様性が増す」というシナリオ自体も、あり得ることだと、既にお知らせ済みです(こちらは、議論のレベルでは不必要ですが)。
「事実1:規制して売れなかったor多様性が減った→規制で多様性が減った」
「事実2:規制があって売れたor多様性が増した→規制がなかったら、もっと多様性が増していた」
……という理論だったら、どんな事実が来ようとも、「規制がないほうが多様性が増す」という結論に導けるので、それは、万能理論であって、事実検証、理論構築、史観構築のあらゆる面で意味がないのではないかと。
だって、調べる必要ないじゃないですか。
どんな事実がでてきても、上の二つにコメントすればいいわけで。
それは、検証的な態度とは違うのではないか、と、いう話です。おわかりでしょうか?
commented by 海法 posted at 2006/05/22 14:19,id
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説明ありがとうございます。
えーとしかし、今は、可能性問題ではなくて、「現実の市場」の話をしてるんですよね?
A,B,C
↓Aが規制されることにより
B,C
↓(規制によりBが発達)
B(B1,B2,B3),C
と、なったとします。
Aが規制されず、それぞれ発展して。
A,B,C
↓
A(A1',A2'),B(B1',B2'),C(C1',C2')
となったとして。
B(B1,B2,B3),Cと、
A(A1',A2'),B(B1',B2'),C(C1',C2')
の
どちらが多様かは、これだけじゃ、わかりませんよね?
そもそも市場による競争原理が、それ単体でAやBを消すこともあるわけで。
それら全部含めて、「実際起きた現実において」「どのような集合が残ったのか。多様性はどうなったのか」を、まず事実と検証して、その後、理論を作る、ということだと思っていたのですが、違うのでしょうか?
commented by 海法 posted at 2006/05/22 17:27,id
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<それは、万能理論であって、事実検証、理論構築、史観構築のあらゆる面で意味がないのではないかと。だって、調べる必要ないじゃないですか。>
いいえ。理論と実証をわけているだけで調べる必要はありますし、私はそんなこと否定したおぼえはありません。もともと歴史を経済の基本原理で検証するというのは理論と事実の照合です。ところが海法さんは経済学の基本原理をすべて万能理論とみなして、自ら理論と実証の区別を放棄しています。
むしろ
「規制が50年代市場を壊滅したのと同じ効果を持ちながら60年代は市場が盛り上がった」という話を裏付ける「理由」をいまだに開示していないあなた方が説明責任があると何度も申し上げてます。これこそまさに万能理論(問うても答えないで議論は無限はぐらかし)ですね。
もう一度だけ聞きますが、どんな理屈(理論?)ですか。これに簡潔に答えてください。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/22 18:12,id
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>「規制が50年代市場を壊滅したのと同じ効果を持ちながら60年代は市場が盛り上がった」
前にも言ったことを繰り返します。
・「50年代の市場が盛り下がった」
・「60年代の市場が盛り上がった」
・「60年代にも規制は続いていた」
これらは、「事実」であり、「事実として」検証すべきものですよね。
田中さんが、どのような「理由」を持っていたとしても、市場が盛り上がっていたかの「事実」とは関係ないし、また、海法が「規制故に盛り上がる」理由を、幾つ例示したところで、「60年代にコミック市場が盛り上がっていた」ことが実証されるわけではありません。
ここまで、よろしいですか?
田中さんは、「60年代、規制の効果は続いていた一方で、市場が盛り上がっていた」という事実を、事実として認めますか?
認めない場合は、元にしている資料が大幅に違うようですので、これ以上、議論するつもりはありません。
まずは、これに対するお返事をお願いします。
commented by 海法 posted at 2006/05/22 18:21,id
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>海法さん、あなた方の「理屈」だけでいいです。
もし「規制の効果があっても市場の繁栄と無関係」
という同義反復のものならば、あいかわらず消費可能集合(これは可能性だけのものなんですが、それさえも認識されてないようで残念です)は規制のある場合よりもないほうが多様性がある、といえます。市場が実際にそれらを選択対象として現に選択した(選択したと仮想推理できる)、などということは一切わたしはいってません。またこの簡単な話もわかっていただけないので、もう少し話をすすめた需要供給曲線の曲線シフトの話もまさに消費可能集合の領域の多寡として図表では表現可能ですね。これもあたりまえですが、可能性の話であって私は当初から現実的な選択の話はしてません。理論と実証をわけているわけです。その区別ができずに無限の詭弁を弄するのはもうやめてくださいね。
では私たちのよりも自らの理論的可能性について述べてください。それ以外の話はこのブログではもう不用です。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/22 18:26,id
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すいません、コメントだぶりました。
<また、海法が「規制故に盛り上がる」理由を、幾つ例示したところで、「60年代にコミック市場が盛り上がっていた」ことが実証されるわけではありません。>
はぁ? つまり理由なんかいいから、これを事実としてうけいれろと? あの~理論的可能性だけでもこのコミック市場がどんな意味で「盛り上がっている」かを説明しないと、本当にそれが「盛り上がっていた」のかいないのかわからないんですが。さっき理論と事実の検証が必要といったのはどなたでしたっけ?
堺さんのところで書きましたが、同時期にアングラ市場が出現しているのでこの市場が「規制あっても盛り上がっていた」かどうかは検討の余地多いにありです。私は最初からそうですけど?
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/22 18:32,id
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>はぁ? つまり理由なんかいいから、これを事実としてうけいれろと? あの~理論的可能性だけでもこのコミック市場がどんな意味で「盛り上がっている」かを説明しないと、本当にそれが「盛り上がっていた」のかいないのかわからないんですが。さっき理論と事実の検証が必要といったのはどなたでしたっけ?
「盛り上がっている」「盛り上がっていない」は、一般的に、それまでと比較して、市場がどのように成長したか。タイトル数は増えたか。読者層はどう変わったか、などで、事実として、検証できるでしょうね。
それを踏まえた上で、「その市場の推移は、どのような理由によって起きたものか」を分析すべきだと思います。
で、万能理論の話ですが。逆に聞きます。
田中さんは、具体的に、どういう事実を発見したら、「規制が多様性を発展させた」あるいは「規制のなさが、発展性を阻害した」という結論に至りますか?
反証実験という言葉が科学にはあります。無論、経済では、実験は行えませんが、観測によって、近いことはできます。
仮に、ある事実が発見されたとして、それによって、田中さんが「規制が多様性を殺した」と思うような、事実は、どのようなものになりますか?
commented by 海法 posted at 2006/05/22 18:37,id
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>「規制が50年代市場を壊滅させた効果をもちながら60年代に市場はもりあがった」という理由
「事実確認」前に「理由」を述べてもしょうがないと思いますが。
>理論上の「消費可能集合」はさておき、現実においては、特定のジャンルに対し、規制をかけることで、活性化することが観察されることが、しばしばあります。
>例えば、娯楽ジャンルで「規制に触れないように、かつ、規制ぎりぎりの面白いものを作るべく努力する」結果、ジャンルがしばしば、活性化するわけです。
>物を作る時に、特定の縛りがあったほうが、新たな手法が開拓され、創造性が発揮される、というのは、よくあることです。
>作り手のリソースが無限に存在すれば、「特定の縛り」を自分に課す作り手と、そうでなくて自由に作る作り手が存在するわけですから、「消費可能集合」は、常に規制がないほうが大きくなりますが、現実は違います。
>作り手の数は有限ですから、「規制」という縛りを全体にかけたほうが、創造性が発揮される場合というのが、現実にあるのです。
>逆に規制の全くない娯楽は、しばしば、刺激を強くする方向にだけ行きすぎて市場を失い、自滅する、というのも、よく観察される例です。
というのを、既に書いています。
残酷コミック禁止という縛りを科せられたことで、新たなジャンルへの探求が始まり、シルバーエイジのSFジャンル開拓へ続いた、というのが、もっとも単純な「理由」です。
念のために言っておくと、海法は、「規制は、多様性を増す」という自説を展開しているわけではなく、1市場の興隆には、規制以外にも、「流行」「景気」「各企業の決断」「他ジャンルとの相互作用」その他無数の要素があって、その中で、「規制」はプラスにもマイナスにも作用しうる、という話です。
commented by 海法 posted at 2006/05/22 19:14,id
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Comments
さてようやく理由がでてきました。
<残酷コミック禁止という縛りを科せられたことで、新たなジャンルへの探求が始まり、シルバーエイジのSFジャンル開拓へ続いた、というのが、もっとも単純な「理由」です。>
はい、それはそうかもしれません。でもあいかわらず残酷コミックをコミックコードが禁止したためにアングラ市場ができました。これは事実ですよね。ということはこのコミックコードは海保さんの書いたシナリオを生み出したかもしれませんが、コミックコードがもたらした総余剰の減少をカバーしていないことになります。これは目前の事実からわりとストレートに出した話です。よってコミックコードがないほうがあの当時、事実としても市場の厚生を改善した可能性が大きいでしょう(人々の選好もこのアングラ市場の存在から変化していないと推測できます)。海保さんの視点は部分的な視野でしかありません。ちなみにこの話はすでに何度も出していましたがすべて万能理論で却下されたものです。
それと話が一巡しただけですのでよくわかりました。海法さんからは屁理屈以外なにもでないのがわかりました。以後の書きこみはご遠慮ください。別なエントリーでお会いしましょう。
commented by tanakahidetomi posted at 2006/05/22 19:43,id
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