WBC日対米のいわゆる誤審について ― 2006/03/14 01:53
さて,どちらが本当なんでしょう。
米国-日本戦球審のボブ・デービッドソン審判員の話 満塁でのタッチアップをチェックするのは球審。(二塁塁審の)ナイト審判員はいるべき場所である三塁付近にいたが、タッチアップをチェックする権限はない。それが最初に(問題なしとの)判定を下してしまった。球審の判定すべきところであり、私は離塁が早いと判断した。
【WBC】日本戦球審「判定は球審権限」 - nikkansports.com
審判員のマニュアルでは満塁の場合は球審が三塁走者のタッチアップを確認する。ただ二塁塁審がセーフの判定を下した後の他の審判員よる判定変更は、野球規則9・02(c)に抵触する可能性がある。コミッショナー事務局の丸山・野球規則委員は「二塁塁審から相談を求められたのかが問題。そうでないのなら越権になる」と話した。
岐阜新聞:FLASH24:スポーツ
野球規則をざっと眺めてみましたが,満塁での三塁走者のタッチアップについて球審しか判定を下せないという項目は見つかりませんでした。
参考:
MLBの野球規則(日本の野球規則は出版物しかありませんでした。手元に野球規則はなく1977年のルールの解説書を参考にしました。)
おそらくこれは上記に「審判員のマニュアル」とあるように運用上の取り決めではないでしょうか。そうるすと,権限という絶対的なものではなく,そうした方が良いという行為に過ぎなくなります。
一方,野球規則には9.02(c)にある審判員が下した判定を他の審判員が(相談されることなく)変更してはいけないとあります。したがって球審の専権事項ではない行為について塁審が判定をくだしたものを球審が変更することは許されません。
また,9.02(b)には,監督は判定をくだした審判員にのみ抗議できるとあります。したがって,球審に抗議した監督も規則違反となります。
ただし,塁審が判定を下していない場合には,球審の判定も監督の抗議も問題となりません(塁審は手を広げただけで判定を下していないとする見解)。
しかしながら,球審も塁審が判定を下したとの談話を残しているので,これは成り立たないでしょう。
野球規則に反する行為を行う審判員は資質に問題があるため,今後の使用を見合わせるべきと思います。
余談とはなりますが,球審に判定を下す権限があったとしても監督の抗議を聞いてからそのチームに有利な判定を示すというのは,公正さを疑わせる行為であり,試合運営上不適切な行為です。やはり審判としての資質に問題があると思います。
さらに余談)普及している国が限られている為,第三国による上級の審判員の確保が難しいということは,これからも問題となるでしょう。審判員の育成をするとともにレベルの低い審判員を排除する仕組み(審判を判定する)や公正な判定のためにビデオを導入する(NFLのように回数制限でチームから求められる)といったことも必要となるでしょう。
日本は質問書を出したようです。
日本が質問書提出へ 米国戦の判定変更で(MLB News,MAJOR.JP)
同時に要望書も提出したようで3年後の第2回大会に向けて、参加国・地域のすべてから審判員や運営委員を出して公正な競技運営を図るように求め
るようです。
2006.3.15 追記
最近のコメント