Winnyによる偽装流出が可能ではないだろうか~まあ,P2Pなら何でも可能だろうけれど ― 2006/03/19 01:08
色々と言われるように今日の流出となっている感じですがw,ウイルスも市場があるところでは進化も早いようで,様々な新種・亜種が登場しています。
- ITmedia エンタープライズ:ローカルディスク全体をさらす、新たなWinnyウイルスが登場
- INTERNET Watch:ローカルドライブを全公開、Winny流出させる新たなウイルス「Exponny」
さて,様々な流出があると別の使い方も出来そうです。
今のところ,流出しましたと発表されているから流出したファイルが本当に本物だとわかるわけです。
ですが,関係者でない人にとっては,そのファイルが本物かどうかは簡単にはわからないでしょう。
さらに,流出したものが本物ではないと納得させることは困難です。
つまり,偽物の流出ファイルを流通させることが可能です。
いま流出しているファイルに加工して再流通させることも可能でしょう。
(山田系はIPが特定されるので難しいでしょうがP2P系ではいけるでしょう)
ただ流通させるだけではニセモノじゃないかで片がついたでしょうが,流出という形式をとればそこに信憑性を出すことが可能です。
P2P系ソフトを使えばより信憑性のありそうな噂(一時情報)を広範囲にばら撒くことが可能になるわけです。
否定すればするほど,ホンモノじゃなないかと思えてくるでしょう。
このときにどう対応するかっていうことは考えておかなければいけないだろうなぁと思います。
「貸本マンガReturns」は面白い ― 2006/03/21 22:58
「貸本マンガReturns」(貸本マンガ史研究会,ポプラ社)は貸本マンガについての研究書(入門書)です。
貸本マンガについて,ジャンルごとに作家・作品を紹介しながら社会からの影響・読者層,どのように消費されたかなどを交えて貸本マンガの世界を描いています。
時代劇,探偵・アクションもの,少女マンガ,怪奇マンガ,青春マンガについて紹介していますが,あとがきによると,戦記,ユーモアなど取り上げられなかったものもまだあるとのこと。
作品紹介の羅列ではなく,貸本世界(業界・読者・作家)の関係についてかなりの比重で書かれているのが,大変面白いところであり,マンガの多様性の生み出され方を考える上で参考になるところです。
(主には序章の「貸本マンガの豊かな世界―戦後の貸本業界と貸本マンガ」に書かれていますが,それぞれのジャンル内でも折に触れ登場します)。
章ごとにコラムがありこれも
- 出版社による「サービス」の実態
- 貸本マンガの「読者のページ」
- マンガ家と読者を結ぶもの
- 貸本マンガの流通過程
など興味深いものが多い。
また,巻末に資料として
- 貸本マンガ関係年表
- 貸本マンガ家リスト1000+α
- 主要貸本マンガ出版社リスト
もあります。
特に,社会の出来事・通常のマンガ界の出来事と並列して記述されている貸本マンガ関係年表はその時代を肌で知らないものにとっては,状況を確認する上で大変参考になります。
個別に面白かったところいくつか。
- 編集者が存在しなかったのでかなり作家の自由であった
- 作家による読者像の意識
- 講談の影響
- 紙芝居作家の流入
- 少女ものの貸本マンガの世界(女性の読者は決して少ないわけではなかった)
- 質と人気は必ずしも一致しない
週刊誌がマンガを借りるものから買うものへと変えた(P.30)
貸本マンガが壊滅に向かうのと歩調を合わせるように,マンガブームが起こる。(P.31)
大変に面白い本ですが,主観的な色合いの強い部分(含むイデオロギー的部分)もありそこいら辺は割り引いて読む必要があるでしょう。
WBC落穂ひろい ― 2006/03/23 23:54
印象に残ったこと
- 始球式
- 投げたのはハンクアーロン。でも投げた球は映されませんでした。
- キューバの国内の様子
- ハバナからの中継。屋外のスクリーンで観戦する人たち。襟足にアメリカ国旗のマークの付いたTシャツの人が。あれはどういう意味なんだろう?
- アナウンサー
準決勝:“世界の松下”(自称)アナウンサー
決勝:船越雅史アナウンサー
試合よりも前に出るアナウンサー2連荘は疲れましたw。
(二人ともサッカー中継での前科の印象が強すぎるのもありますが)- キューバのラッキーボーイ
- アナウンサーが告げます。
「この選手はキューバのラッキーボーイです」画面に出てきたのは………髭を生やした小太りのおっちゃんでした。
- メダル授与
- 時間節約の為かプレゼンター二人で二人づつ渡していきました。そのため貰う順番がわからなくなって,いくつか混乱が。イチロー選手は帽子を取るのを忘れきってました。おかげでメダルがなかなか通らないことに。
今後の課題
- 主催者
- サッカーのW杯化を目指すなら,主催が大リーグはまずいでしょう。せめて各国の代表からなる実行委員会が必要では。アメリカの難しいところは国内向けと国外向けと別の顔を作らなければいけないところと思われるので、外に出しちゃった方が楽でしょう。儲けは減りますが。
- 対戦方法
- 地域予選が同じ地区のチームは一次リーグで別の組に。決勝トーナメントは1位と2位同士のタスキがけに。
- 審判員
- 人数の増員が望まれる(各国から出し合うのが妥当)。また,チェック機構も必要。審判の技術に問題のある人がいつまでも試合に出続けることのないようにする必要がある。対戦国出身の審判員は外すのが理想であるが,野球の普及地域が少ないことを考えると難しいでしょう。
- 記念品
- 補修用品の同梱が望まれるw(参照→WBCと接着剤|Economics Lovers Live)。
夢にみる風景 ― 2006/03/25 01:29
某所で久々に「知の欺瞞」の名前を見て,そういえば日仏会館に訳者の一人の堀先生の講演会に行ったなぁということを思い出しました。
フランス文化講演シリーズ(第182回)「ソーカル事件 ― 思想のスタイルをめぐって」
講師:堀 茂樹(慶應義塾大学助教授)
講演内容はすっかり覚えていませんが^^;(ググってみても見つかりませんでした),そのときの印象は覚えています。
日仏会館はこのときが初めてで,見知らぬ薄暗くなっている道を地図を片手にせっせと歩いていきました。特に並木道のあたりは建物も少なく人がまるっきりいませんでした。
<GoogleMap>
時間からするとぎりぎりのはずなのに少し待った記憶があるのは開始が遅れたからだっと思います。
ホールは広さの割に人もあまり多くなく,堀先生もはきはき話すタイプではなかったので講演会は淡々と進んでいきました。
そして質疑応答もほとんどなくあっさり終わってしまいました。終了後は時間が遅かったことから,さっさと会場から退出させられました。
そんなこんなで,強く心に残る出来事がなく,ただ閑散として薄暗いぼんやりとしていたなぁということだけが印象に残っています。
そして時々『不安の風景』として夢に登場します。
- ぽつんといすに座ってなかなか始まらないなぁと待っていると廻りに人がいないことに気付く。
- 上の階で何かが始まるのを待っていたら,場所が下に変わってしまう。そこから階段で降りていったり,エレベーターで下りてから廊下でホールへ向かう。途中の踊場や廊下の貼紙で日仏会館であることに気付く。
まあ,そのうちに,ああここに居るってことはこれは夢なんだなと気付くという,夢であることの指標のひとつになってしまいました。そして,今ではほとんど登場しません。
ここ2週間で買ったCD・DVD ― 2006/03/26 01:03
CD
[アルバム]
- we are PARANMAUM(パーランマウム,)
しばらくは,毎日聞いていました。魅力は余裕のない歌い方w。癖になります。歌い方の特徴は母音が強調されるところ。
- Destination (初回限定盤DVD付)(FictionJunction YUUKA,ビクターエンタテインメント)
試し買い。
- 超時空コロダスタン旅行記(紙ジャケット仕様)(アポジー&ペリジー,Sony Music Direct)
買いもらしていたので購入。戸川純目当て。
- Animal Lover(The Residents,ボンバ・レコード)
レジデンツは相変わらず,ゆるゆるで良いデス。ジャケットの内側のイラストは大丈夫なのですかね。
DVD
[音楽]
- ミニマム-マキシマム(クラフトワーク,東芝EMI)
クラワフトワークのライブというものを見てみたかったので。
レッシグたんを見に行ってきました その1 ― 2006/03/28 02:12
レッシングたんが出るというので(笑),国立情報学研究所のシンポジウムへ行ってきました。
CCJPシンポジウム 『誰でも簡単に使える著作権表示』の未来について考えるは時間の都合でいけませんでした。
午後のNII 国際シンポジウム「知的情報の流通と学術・文化の発展に向けて」のみ聴講。
レッシグ教授の講演
ROとRW
- RO(ReadOnly)
- 消費する文化
- ITunes,Amazon(ページ単位の切り売りなど)
- RW(Read Write)
- 再作成
- 大勢の人が参加出来る
20世紀:アートがプロに閉じ込められた→一般の人は受容するだけ
著作権法がROの文化を支える。
ただし,著作権法では完全には管理できない。
→本の“利用”は規制されていない。
例えば,本は読む・あげる・売る・枕にすることが出来る。
アナログではほとんどの使用が自由であるが
デジタルでは使用の制限が可能となる。
ROに対してRWを与えることが出来る。
アメリカではAMV(anime music video)というものがある。
例として,「彼氏彼女の事情」と「吸血鬼ハンターD」を題材に使ったものを紹介。
その他おなじみのAtmoの“Bush/Blair love duet”などを紹介。
注)音楽にアニメの映像を編集して当てはめたもの。日本で言えばマッドビデオ。
参照:Wikipedia
このようなRW文化はアメリカでは違法とされる。
問題は技術ではなく著作権法である。著作権法の廃止ではなく,再調整が必要である。
クリエイティブ・コモンズについて
アメリカでは著作権法の改定は不可能だろう(改定を口にすると共産主義者と言われるだろう)。
だから,民間で出来ることをやる。それがCreativeCommonsである。
CCのライセンスは3層からなる。
- 第1層:人間が読むもの
- 第2層:弁護士が読むもの
- 第3層:機械が読むもの
ライセンスは増加している(3年間で4万3千件になった)。
新分野:Science Commons
知識の共有。論文を誰でも使えるようにする。
CCはプログラムでなくインフラである。
例)
- 相互運用性(INTEROPERABILITY)
- 一つのライセンスの生成で複数の国の利用許諾条項を生成する(iCommons)。参照: CC in Review: Lawrence Lessig on Compatibility
- 似たライセンスと相互運用できるようにする
- 商用サイトへのリンク
- 商用利用を望むのなら該当する団体のサイトへのリンクを表示する。
CC<>Free Culture Movement(あるいはCC!=Free Culture Movement)
目的と手段が異なる。
CCは著者の権利を手助けするものである。
ROとRWの両方に対応しようとしている。
その他の講演等については明日書く予定
レッシグたんを見に行ってきましたその2 その他の面白かった講演 ― 2006/03/29 01:47
セッション1
“Creative Archive” ポール・ゲルハート(英国放送協会ディレクター)
概要
- TVやラジオ番組で使用して問題ないものを検索できる
- ダウンロードできる
- 限り改変・再利用できる
- 非商用に限り他の人と共有できる
なぜ行うのか
- 公開は受信料を払っている人への義務
- 一般の要望(若者支援:インターネットを利用する若者のある程度は何らかのクリエイターである。VJ(Video Jockey)の用途)
- 政府による英国放送協会の見直し時期である
- 多量の動画・音声・静止画のデータを持っている
題材
- 対象はニュースや事実を題材にした番組はすぐに公開
- コメディ・ドラマ・子供番組などは一定期間をおいて公開(期間はコンテンツの利用価値による→価値の高いものは公開までの期間が長くなる)
目標達成の為の5つのKey Step
- STEP1 Meet a strategic need
- 戦略的ニーズと合致させる
- STEP2 Commit to tranceparency
Pilot期間の間,成功と失敗を追跡
- 18ヶ月のpilot
- コミュニケーション用のサイトを準備
- STEP3 Be open to consultation
- CA ユーザライセンスのドラフトの公開など
- STEP4 Set clear boundaries
境界線を明確にする
- ユーザ登録を義務付ける
- ニュース・事実に関するものに限る
- テレビに比べて解像度を落とす
- 電子透かしをいれる
- STEP5 Share everything
- ライセンスグループの立ち上げ。全国的なCAライセンスの立ち上げ。
ユーザライセンス
- view/edit/mmodify/adapt/translate
- 国内に限る(視聴者に対するもの。国外は相互運用で)
- 非商用利用に限る
- BBCの権利が強すぎないかはPilot期間に確かめられる
技術的側面
- 提供サイトはbbs.co.ukに統一する
- フォーマットはWM9,MPEG1,Quicktime,MP3
- 要登録
- 利用者はIPにより制限する(UKのみ。視聴者へのサービスであるから。他国へはディストリビュータとの提携で)
Public Value Testの枠組み(2つの側面から)
- 公共価値の判定(Public Value Assessment)
市場への影響調査(Market Imapct Assessment)
- +の側面
- 創作物が増える
- -の側面
- 民放を圧迫する
セッション2
「デジタル権利ライフサイクル管理の提案」 曽根原 登(国立情報学研究所教授)
市場への影響調査(Market Imapct Assessment)
- +の側面
- 創作物が増える
- -の側面
- 民放を圧迫する
冗談も多い,面白い講演でした。
著作権管理を動的に行おうという提案です。
- 単位
- 単位として年の意味はない(何年までは保護するといった)。アクセスされた回数・頻度の方がよい。
- 状態
- コモンズ-商用 間を自由に状態遷移させる
- ライフサイクル
- 発生時は共有状態。アクセスが増えるにつれ商用状態(非完全共有)に遷移し,アクセス数の減少とともに共有状態へ戻ってゆく。
有用性
- 自由度が高い
- 著作権の処理コストの低下
- インセンティブ:評判が高まれば自由に商用にのる
実装例
文章
伏字にしても文章の大体の意味がつかめることを利用する。
- 初期状態(発生時=アクセス数が0)
- 全文が読める
- アクセス数の若干の増加
- 少し伏字(■)が増える
- 商用状態(アクセス数の多大なる増加)
- 伏字がかなり多くなる。購入すると完全な文章が読める。
- アクセス数若干の減少
- 伏字が減る
- アクセス数が少ない状態(≒初期状態)
- 全文が読める
レッシグたんを見に行ってきましたその3 パネルディスカッション ― 2006/03/30 01:30
注)以下は私のメモと記憶に基づいており,正確性は保障できません。また,各発言者がこのように発言したということも保障の限りではありません。
コーディネータ
- 東倉 洋一(国立情報学研究所副所長)。以下(司会)
- パネリスト
- ローレンス・レッシグ(スタンフォード大学 法学部教授)。以下(レ)
- 余 爲政(国立台南芸術大学 音像動画研究所長)。以下[余]
- 長尾 真(独立行政法人 情報通信研究機構理事長) 。以下[長尾]
- 榎並 和雅(NHK放送技術研究所長) 。以下[NHK]
- 安田 浩(東京大学 国際・産学共同研究センター教授) 。以下[安田]
最初に質疑応答を行うという構成でした。
[会場]放送とインターネット環境での情報流通の違いは?
[NHK]放送は内容を審議している。そのような手続きを経ないインターネットは放送とは考えない。
どうでもいい質問だったのでうろ覚えです。
[会場](レッシグ教授に)GPLについてどう思うか。またGPL3.0についてどう思うか。
[レッシグ]C.C.はFSFのアイデアに影響を受けている。GPL3.0についてはボードメンバーなので返答できない。
[会場]日本はコピーアットワンスだがBBCは共用しようとしている。
[NHK]権利は守りつつ提供するという調整を取る為にコピーワンスにした。BroadCastingFlagについてはFlagだけでは守られないのではないだろうか。
[レッシグ]BCFについて)
BCFは市場の規模の問題がある。BCFは複雑であり市場規模が小さくなる。
[レッシグ]BBCについて)賛成である。
アナログは保護がなかった。デジタルで権利を狭めるのは良くない。
著作者の報酬,権利者と話し合う余地が生まれる。
質問・回答ともうまく聞き取れませんでした(特にBCF)。
NHKには1.著作者に公開の形態について確認を取っているのか。2.NHKの著作物については公開する用意があるのか。を確認したかったのですが,ここで質問は終わってしまいましたorz
[司会者]NHKとBBCに相手のプレゼンを聞いて相手への質問をして欲しい。
[NHK]BBCの番組公開への取り組みについて敬意を表する(民間への圧迫度への考慮が素晴らしい)。また,参考になる。
[BBC]NHKとBBCには多くの共通性がある。公開は公共益の問題。図書館や博物館との連携が出来るのでは?
[NHK]パッケージメディアは図書館で貸し出せる。教育テレビで深夜に教育用の映像クリップを流している。これは自由に加工して授業に使ってよい。
[司会者]文化の問題を科学技術で解決できるか
[安田]技術者としてはそう思う。ただし,異文化交流まで考えると難しい(例えば戦国時代というときに同じ年代をとるか同じような状態の時代をとるか)。
[長尾]は著作権は独占権である。これを変えていくのにはコンピュータが役に立つのでは。対価をきちんと払うのが重要。広く薄く取れる。支払いのシステムがないことが問題(違法コピーが生まれる)。
[余]技術でアーティストは楽が出来る。また異文化への橋渡しが出来る。
[司会者]文化の発信への手助けとなる技術の可能性
[レッシグ]技術と著作権のポリシーについて,一般の人は法を重く見すぎている。法は天から賦与されているわけではない。
現在の著作権制度が枠組みとして意味があるか。最善の制度への見直しが必要である。
現状では技術がうまく生かされるどのような制度が機能するのかを考えなければならない。
[安田]音楽・文章の文化は技術で見分けがつく。映像に対しては技術があまり貢献できない。
一般の人は映像の技術レベルが低い(技術の高い映像がわからない)から違法コピーがある。みんなが作るようになれば技術レベルがわかるようになり,また自分のものを盗まれる痛みを知り違法コピーをしなくなる。底辺を広げるためにクリエイティブコモンズは有効。
[司会者]今の技術でいまの著作権制度をどのように組み合わせるかどう変えるか具体的にする必要がある。
[NHK]今の著作権があるから二次利用できないというのは違う。契約があるから出来ないだけ。契約による制約がある(テロップのフォントにも権利が生じてしまう)。
[安田]今の著作権者は有能な人の権利を守るもの。だから一般人は関係がないと思っていて盗まれる痛みがわからない。みんなが作るようになれば盗用の痛みがわかる。
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